芥川賞作家・中村文則の同名デビュー作【銃】あらすじ&考察

銃映画

大雨の夜に死体を見つけた大学生のトオルは、そばに落ちていた銃を持ち帰ったことで、退屈だった日常が思わぬ方向へと変化していく。

おすすめポイント

  • おすすめポイント①:モノクロで描かれるスリリングな物語
  • おすすめポイント②:世界が変わるクライマックスシーン
  • おすすめポイント③:村上淳と村上虹郎の親子共演

こんな方におすすめ

短めでグッとくる映画を観たい方。文学作品のような映画を観たい方。

作品概要

  • 公開:2018年
  • 制作国:日本
  • 上映時間:97分

キャスト

  • 村上虹郎
  • 広瀬アリス
  • リリー・フランキー
  • 日南響子
  • 新垣里沙

【銃】はアマゾンプライムは509円でレンタル可能・U-NEXTは550ポイントで視聴が可能です。

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【銃】のあらすじ

大雨の夜、偶然男の死体を見つけた大学生の西川トオル(村上虹郎)は、そばに転がっていた銃を拾いアパートに持って帰る。
翌日トオルはその銃を隠し持って大学へ行ってみたが、手元に銃があることで今までにない自信が湧いていることを感じ、合コンで知り合った女性(日南響子)の部屋で一夜を明かす。

翌朝その女性がトーストを焼いていたので、トオルは彼女を「トースト女」と名付ける。
その時、ちょうどテレビから死んだ男のニュースが流れていた。
そして、自分が持ち去った銃を警察が探していると知ったトオルは、急に気分が悪くなって吐いてしまった。

ある日トオルが大学の食堂にいると、ヨシカワユウコ(広瀬アリス)が現れて話しかけてきた。
ユウコとは以前から知り合いだったらしいが、トオルはユウコのことを覚えていない。
親し気な態度をとるユウコを見たトオルは、彼女とすぐ肉体関係になるのではなく、時間をかけて親密になるというゲームを思いつく。

その夜、引っ越してきた隣の部屋から、子供を怒鳴る母親(新垣里沙)の声が聞こえてきた。
それを聞いて過去の忌まわしい記憶が蘇ってきたトオルは、大音量で音楽をかけてみるが、とうとう我慢できなくなって外に出てしまう。

すると、パトロール中の警官が声をかけてきた。
トオルは緊張で体をこわばらせたが、その時は銃を持っていなかったので無事にやり過ごすことができた。
ホッとするトオル。しかしその一方で、銃を持っていたらスリルと高揚感が味わえたのにと思う。トオルはそれから銃を常に持ち歩くようになった。

また隣から怒鳴り声が聞こえてきたので、トオルは外に出た。
すると、ユウコから連絡があったので会ったところ彼女から部屋に誘われる。
ユウコが自分に好意を寄せていると知ってトオルは興奮するが、ゲームに従いあえてプラトニックな関係でいることにした。

その帰り道、公園で血塗れの猫を見つけたトオルは、いっそ楽にしてあげようと思い、ついに銃を発砲する。

後日、トオルのもとに刑事(リリー・フランキー)がやって来た。
近くの公園で猫が銃殺され、その場から走り去る男が目撃されたという。
トオルは部屋に上がろうとする刑事を拒み、一緒に喫茶店へ行って話をする。

最初は「猫の死体から見つかった弾丸と、男の死体から見つかった弾丸は同じ」と話していた刑事だったが、実は猫の体内から銃丸は見つかっておらず、男の方は自殺だったらしい。
トオルが拳銃を持っていると確信している刑事は、トオルにカマをかけたのだ。
そして、人を撃ってしまう前に銃を捨てるように警告するが、トオルは拳銃について知らないふりを貫き通す。

帰宅後、極度の緊張から吐いてしまうトオル。
そして銃を磨きながら、自分は人を殺したいと思っているのかと自問自答する。

そんなある日、派手な格好をして出かける隣の母親を見かけたトオルは店まで尾行してみる。
その夜彼女は男と一緒に帰ってきて、幼い子供をアパートから追い出した。
それを見たトオルは、怒りと憎しみを募らせ彼女を殺そうと思い立つ。

早速トオルはその母親の行動を調べ上げ、殺人計画を着々と進めていった。
いつのまにか大学に行かなくなり、性欲のはけ口をトースト女に求める一方、ユウコとも会っていた。
しかしユウコから最近様子がおかしいと言われ、ぎくしゃくした関係になってしまう。

そして殺人決行の夜、トオルは交差点近くの工事現場に身を隠して隣の母親を待ち伏せしていた。彼女が目の前にやって来た時トオルは震える手で銃を構えたが、一瞬振り返った彼女の顔が自分を捨てた母親に見えてしまい、結局撃つことができなかった。

その日を境に、トオルは元の生活を送るようになった。
銃を手放すことを決めたのだ。
トオルは大学に通って友人と過ごし、ヨウコとの関係も修復して、久しぶりに心の平穏を取り戻す。

ある日トオルは記念に取っておいた弾丸一つと弾丸の入っていない銃をポケットに入れ、電車に乗った。
すると、隣に座ってきた男が大声で電話をしている。
トオルはその態度が我慢できなくなり、衝動的に彼に銃を向けてしまう。
それをオモチャだと思った男は、ふざけて銃口を自分の口に入れてトオルを挑発。そこでトオルは、引き金を引いた。

その瞬間、大量の血しぶきが飛び散り車内は大パニック。
銃の中に弾丸がまだ残っていたのだ。
驚いたトオルはがく然とするが、我に返って自分の頭に銃口を当て引き金を引く。
しかし今度は、本当に弾丸が残っていなかった。

トオルは慌ててポケットから最後の弾丸を取り出し銃に入れようとするが、銃丸は血まみれになった手から何度もすべり落ちてしまう。
そこへ、あの刑事が叫びながら現れる。トオルを尾行していたのだ。
彼の姿を見て思わず笑ってしまうトオル。そして乗客が大騒ぎする中で、トオルは弾丸を必死に拾っては落とすのを繰り返していた。

【銃】の考察

芥川賞作家である中村文則のデビュー作を映画化。
監督は原作を読んで、直感的にモノクロで撮影したいと思ったらしいですが、深みのあるモノクロ映像と心の闇を語るモノローグが見事にマッチしていて心にひっかき傷を残す良質な作品です。

いつでも他人や自分の命を奪うことができ、また他人や自分の命を守ることもできる絶対的な武器。それが銃。
そんな銃を好奇心で手に入れたトオルは、全能の神になったような興奮と高揚感を味わい、無敵になった錯覚に陥りますし、恐怖と隣り合わせのスリルによって、退屈だった日常が生き生きとしてきます。

母親から虐待を受けていたトオルは、似たような隣の母親を殺すことで、自分の母親に復讐をしたかったのでしょう。
彼が2人の女性に心を開かないのも、その根底には女性に対する不信感があるような気もします。
トオルはトースト女とユウコの間でバランスを取りながら銃の魔力にとりつかれ、追い詰められていきますが、そんな狂気の世界が美しくもリアルに描かれているところが素晴らしい。

トオルの屈折した未熟さとフラストレーションを魅力的に演じた村上虹郎。
彼の内面の動きがほとんどモノローグで表現されているため、実はセリフがほとんどなく、この作品に文学的な雰囲気があるのはそのせいかもしれません。

また、トオルが部屋で黙々と銃を磨いているシーンには、執筆当時の作者自身が強く投影され、作品に登場する西高島平駅前や喫茶店は彼の生活圏だったそうですから、トオルを通じて原作者の息遣いが伝わってくるようですね。
ちなみにトオルの部屋は、撮影時に村上虹郎が実際に住んでいたとか。

リリー・フランキーが刑事コロンボ風にトオルをネチネチ追い詰めつつ、まるで父親のように現実を教え、諭したりする喫茶店のシーンは緊張感でドキドキ。

そして、トオルが最後に口にする言葉が心にグサリと刺さります。
銃は何の象徴?もし自分が銃を手にしたらどうする?誰もがそんなことを考えながら観てしまうことでしょう。
モノクロの効果が抜群に活かされた忘れがたい映画です。

 

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しかし彼の場合は銃を手に入れたくてしょうがなく、とうとう自分を暴行した不良グループに復讐するため銃を作ってしまいます。
銃の存在が人を変え、人生を狂わせる。

モノクロ映画というところも共通点がありますね。

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