【クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅】は勇気を与えてくれる作品。あらすじと考察

5.0
クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅映画

パリの家具職人に憧れた男性が、宿に泊まるお金がなくてクローゼットに忍び込んで夜を過ごそうとしたところから、大変な旅が始まる物語。

おすすめポイント

決して恵まれた環境に生まれついてはいなかったアジャが辿った旅のお話なのですが、そこには苦労と同じくらい笑いと愛と工夫が満ちています。

どのエピソードもコメディタッチに描かれています。その気になればいくらでも悲壮感あふれるシーンにできるのに、こんなにもコメディとして描きだし、そしてそれをアジャという人の成長につなげている。観終えた時には、「つらいことがあったらこれを観よう」と決意するほど勇気を与えてくれる映画です。

  • おすすめポイント①:スミス警官の歌とダンスで始まるアジャとのかけあい
  • おすすめポイント②:マリーとの出会いのシーンがおもしろすぎる
  • おすすめポイント③:ネリーとのダンスシーンが素晴らしい

おすすめポイント①:スミス警官の歌とダンスで始まるアジャとのかけあい

ミュージカル映画ではないのですが、ちょいちょい入る歌とダンスのシーン。スミス警官は、警察官にあるまじきユルさの持ち主。彼とのかけあいがとにかく愉快です。

おすすめポイント②: マリーとの出会いのシーンがおもしろすぎる

憧れの家具屋に赴いたアジャが、一目ぼれする女性マリー。

彼女となんとか近づこうと、アジャが仕掛けたのは「家具を実際に使うとこんな感じ」シュミレーション。

彼女と夫婦あるいは恋人という設定で、どんどん彼女に話しかけ、勝手にお芝居を始めるのです。かなり強引なのですが、これがとってもおもしろい。ついにはマリーが仕掛けてくるシーンがあって、ここで私は声をあげて笑ってしまいました。

おすすめポイント③:ネリーとのダンスシーンが素晴らしい

インドも制作に関わっていることや、アジャがインド人の設定であることからか、インド映画によくあるシーンが取り入れられています。

インド映画では、意味もなく歌やダンスのシーンがあるのは有名ですよね。今作の歌とダンスは無意味ではないのですが、その華やかさと圧巻のパフォーマンスにはインド映画を彷彿とさせるインパクトがあります。

こんな方におすすめ

幅広い年代のコメディ好きの方にオススメです。

また、これまでシリアスな作品でしか難民問題や貧困問題を観てこなかった人に。「生きる」とは様々な事情があってもとてもシンプルなことなのだ、と学ばされます。

作品概要

  • 公開:日本公開2019年6月7日
  • 制作国:フランス、アメリカ合衆国、ベルギー、シンガポール、インド
  • 上映時間:96分

キャスト

  • ダヌーシュ
  • ベレニス・ベジョ
  • エリン・モリアーティ
  • バーカッド・アブディ
  • ベン・ミラー

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【クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅】のあらすじ

冒頭は、ムンバイの警察署。連行された非行少年たちに自分の半生を聞かせる青年教師が、この作品の主人公。

物ごころついた頃から、「父親はいない」と母に言い聞かされて育ったアジャ少年は、口癖は通り過ぎる男性を見ては「あの人が僕のお父さん?」。

母は、シングルマザーであってもアジャ(ダヌーシュ)を立派に育てなければという使命感で必死で彼を育てる。しかし、彼女は過労もあって次第に弱っていく。

彼女の夢は、フランスに行くこと。アジャはその夢を叶えるべく、自分にできる方法でお金を貯めようと〝懸命に″手品をしながら観客から財布をスる日々を続ける。しかし、努力もむなしく、お金が用意出来る前に母は急死してしまうのだった。

彼女の遺品の中から、父親からのラブレターを大量に発見したアジャは、母の遺灰を持って待ち合わせ場所に行くことを決意。地域の元締めからお金を盗み、パスポートと旅券を確保するが、すぐに元締めからお金を取り返され、アジャは隠し持っていた100ユーロの偽札と旅券、パスポートだけ持って旅立つ。

フランスに到着したアジャは、まず憧れの家具屋へ赴き、そこでマリー(エリン・モリアーティ)に一目ぼれ。彼女と話せるようになったアジャは、彼女と明日エッフェル塔で会おうと約束する。そして、無一文になってしまったので、母の遺灰は家具屋にあった壺に隠し、自分は家具に忍び込んで休むことに。

しかし、次に気がつくと彼はトラックの中。イギリスに運搬されるトラックで、同じコンテナには不法移民のウィラージ(バーカッド・アブディ)達と出会うのだった。コンテナはイギリスに向かっており、アジャは行きたくないと言うもウィラージは諦めろと諭す。が、コンテナは検問に引っかかり、ウィラージ達は急いでコンテナを降りる。アジャも流れで彼らと行動を共にすることになり、ついには警察につかまってしまう。

アジャはただの旅行者だと主張するが、パスポートは偽造だとスミス刑事(ベン・ミラー)に言われ、パスポートと偽100ユーロ札はシュレッダーにかけられてしまう。

途方にくれるアジャだが、一緒に逮捕された難民達とともにスペインに送られる。しかし、入国も退出も認められず、空港で難民とともに日々を過ごすアジャ。

いつしか、その建物から脱出できたアジャは、空港の荷物にまぎれてスペイン国外へ脱出。輸送途中、ふいに幼い頃に出会ったデヴァ導師のことを書きとめておこうとシャツに彼に聞いたことを書きとめる。

やがて荷物はどこかに到着し、アジャが荷物から出てみると、そこはイタリア・ローマで、女優ネリーの部屋だった。シャツに書いた物語に目を止めたネリーは、読んで感動したと言い、その物語が高値で買い取られるように画策する。

さらに、アジャに服を用意したり、街にともに繰り出したりと親切にしてくれ、2人の間には友情が育つ。彼女が、かつての恋人を今も想っていることを知ったアジャは、ネリーの気持ちが元恋人に届くようにとマスコミを使う。

その作戦はうまくいき、ネリーの恋人が彼女に連絡をとってきた。と同時に、アジャの物語は彼女の元夫アルフレッドに10万ユーロで買い取られるが、騙されたと知ったアルフレッドの部下がアジャを追い詰める。

アジャはアルフレッドの部下から逃れ、たまたま見つけた熱気球に乗り込むが、それはやがて燃料切れで海に落ちることが分かっていた。その危機に、海賊に出会うアジャ。

命は助かったが、やっと手にした大金を奪われてしまうのだった。船はリビアに到着し、そこでウィラージに再会するアジャ。彼は、自分のお金を奪われたことがゆるせない、とウィラージに協力を頼み、無事にお金を取り戻す。再び大金を手にしてほっとしたのもつかの間、ウィラージがいる難民キャンプには、お金が必要な人ばかりがいるのだと知るアジャ。協力してもらったお礼かわりに、夢を持った人々の話を聞き、必要なお金を手渡していくアジャ。自分に残ったお金はわずかで、アジャはそのお金で〝本物の偽造パスポート″と航空券を入手し、パリへと戻る。

果たしてアジャは、最初に決めた目的を果たすことができるのか…?

 

【クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅】の考察

この作品の背景には、貧困とシングルマザーの苦しい生活状況があります。

インドだけでなく、どこの国でもあるテーマでアジャの母が言うことはすべてのシングルマザーが抱える不安やプライドが反映されています。

しかし、アジャ少年にはその苦しみは少し遠いところにあって、少年は少年なりに必死で幸せをつかもうと犯罪に手を染めていきます。

そのあっけらかんとした様子に、かえって貧困が招く悲壮感を感じるのは私だけでしょうか。生きのびるために犯罪に手を染めるというのは、日本でだって起きていることです。

この作品の、どこまでもコミカルで明るい雰囲気に忘れてしまいそうになるけれど、そういう大事なテーマを抱え込んでいる作品です。

しかし、アジャの語り口調はどこまでも明るく、このテーマを見事に軽く見せてくれているのです。この工夫は、かなりスゴイと思いました。

エピソードに登場する人の中には、悪人も沢山いるのですが、彼らを必要以上にこらしめることもアジャはしません。そこに、アジャという人間の寛容さを見てとれるし、人間は悪事と近しい場所で生きているのだということを教えられます。しかし、その悪事に手を出さなくても生きていけることも。悪事とはすっぱり手を切って生きることを選ぶアジャ。彼はどうして教師という職種を選んだのでしょう?マジシャンとしてでも十分生きていけるほどの技術と機転があるのに、です。そのことを、色々と考えました。

いろんな事情や価値があり、この世は沢山の違いだらけの人でできています。だけど、世界はきっとやさしい。そのことをつくづく感じさせてくれる作品です。

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