【帰ってきたヒトラー】はただのコメディーとあなどるな!ヒトラーに共感してしまう「あらすじ」と考察

4.5
帰ってきたヒトラー映画

この映画はやられました。

私は、ヒトラー映画好きなのですが、コメディータッチがどうにも気が進まず、未視聴でいたのですが、途中からガッツリハマっていました。
コメディーと思ってみると、しっぺ返しを食らいますよ。

TVCMだと、この予告編の前半部分しか流れていないので、ただのコメディーと勘違いするんですよね~。

おすすめポイント

  • おすすめポイント①:単純に面白い。ただそれだけではない・・
  • おすすめポイント②:主演オリヴァー・マスッチの素晴らしい演技
  • おすすめポイント③:ドキュメンタリーを交えた異色な映画

ポイント①単純に面白い

ヒトラーが現代にタイムスリップしたらという奇想天外なテーマ通り、戦時中と現代とのギャップに普通に笑えます。コメディーとしても面白いです。

ただ、それだけで終わらないのがこの映画の本当の魅力です。コメディーとして滑稽なヒトラーを見て笑うのも、映画のテーマとして存在します。

ポイント②主演オリヴァー・マスッチが素晴らしい

映画の性格上、無名であったオリヴァー・マスッチがヒトラー役に抜擢されています。オリヴァー・マスッチは、ヒトラーより身長が10㎝も高く、かなり長身です。また、元々の顔もまったく似ていないのですが、見事に演じきっています。

マスッチは、数か月に渡って役作りを行ったようで、ヒトラーになりきりながら面接を行ったり、ヒトラーだと思い込む精神患者のフリをしてカウンセリングを受けたりもしたそうです。

次に紹介するように、リアリティを追求した形の映画であるため、役者に求められるものが大きいですが、しっかりとヒトラーを再現できています。

ポイント③:ドキュメンタリーを交えた異色な映画

ヒトラーが街頭で市民にインタビューを行っていくシーンがいくつも出てくるのですが、その部分の大半はノンフィクションで、リアルな取材動画です。

現代にヒトラーが転生するというファンタジックなテーマとドキュメンタリー映像の融合が異様な感覚を私たちに与えます。

こんな方におすすめ

コメディーですが、小さなお子様だと楽しめないかもしれません。

大人に見て、しっかりと考えて頂きたい映画です。

20代・30代・40代とみる世代によっても意見がわかれそうですが、【ヒトラー最期の12日間】が好きな方なんかは必ずハマると思います。

作品概要

  • 公開:2015年10月8日
  • 制作国:ドイツ
  • 上映時間:116分

キャスト

  • オリヴァー・マスッチ
  • ファビアン・ブッシュ
  • カッチャ・リーマン
  • クリストフ・マリア・ヘルププスト

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【帰ってきたヒトラー】のあらすじ(ネタバレあり)

1945年、第二次世界大戦の最中に自殺したアドルフ・ヒトラーは、自殺直前の記憶を失った状態でベルリンの空き地で目を覚ます。

ヒトラーはまだ戦争中だと思い、戦争の指揮に戻ろうとするが、ベルリンの国民が自分を総統と認識しないことに違和感を覚える。

ヒトラーは、情報を得ようと立ち寄った場所で、自分は今、2011年のベルリンにいることに衝撃を受けそのまま倒れてしまう。

同じ頃【My TV】をクビになったザヴァッキは撮影した映像にヒトラーそっくりの男が映り込んでいるのを発見し、テレビ業界への復帰のためにコンタクトをとる。

現代とのギャップのあるヒトラーの話に、ザヴァッキはエンターテインメントとしての可能性を感じ、ヒトラーと共にドイツ中を飛びまわり自主撮影動画を撮る事となった。

最初の目的地は、ドイツ最北端の【ズュルト島】。ここでの撮影はヒトラーが海岸を歩くだけのシーンと面白味のないもの。

ヒトラーはその夜、ホテルにあったテレビの進化に驚くとともに、中身のない娯楽ばかりの番組に、ナチス時代の宣伝相ゲッペルスには見せられんと憤慨する。

しかし、この事から【政治】をコンセプトに、撮影を決意する。

早速、レストランや精肉店で政治についてのインタビューを行うと、市民からの不満があふれ出す。

続いて東部の都市ドレスデンやバイロイト(ヒトラーが敬愛したワーグナーの出身地)・ミュンヘンなどを同様に横断していくが、意見は様々あるものの、政治への不満の声があがる。

インタビューを続ける事で、若者を中心にSNSでいわゆるバズりだす。

この実績を持って、ザヴァッキとヒトラーは解雇された【My TV】に復帰を願い出る。

局長のビリーニに気に入られ、風刺が売りのトーク番組「クラス・アルター」へのゲスト出演が決定する。

番組放送時、ゲストとして紹介されたヒトラーは持ち前の演説力で見事に聴衆を引き付ける。風刺とジョークを織り交ぜたトークは、番組のメイン司会者を完全に押しのけ、一躍スターとなる。

数々の番組への出演が決まり、時の人となるヒトラーであったが、TV局内の権力争いにより、ヒトラーが犬を射殺したシーン(ザヴァッキとの撮影中に噛みついた犬を拳銃で殺していた)を流されてしまい、TVから干されてしまう。

ヒトラーは隠遁生活のなか、自伝「帰ってきたヒトラー」を執筆をし、出版する。

本はたちまちにベストセラーとなり、印税を環境保護団体への寄付にあてる事で、世間のイメージを見事にひっくり返す事に成功した。

その後は人気を背景に徐々に勢力を拡大するヒトラー(SSの創設など)。

ザヴァッキは恋人の母親とヒトラーとの会話や、撮影映像からヒトラーが本物であると気づく。取返しの付かない事をしたと焦り、騒ぎ立てるザヴァッキであったが、時すでに遅し、ザヴァッキは精神障害として隔離病棟に入れられてしまう。

映画の大ヒットともに街をオープンカーでパレードするヒトラーと好意的な市民の映像で幕を閉じる。

【帰ってきたヒトラー】の考察

この映画を見た多くの方が、おそらくは最初はコメディーとして笑い、途中に違和感を感じ、最後には恐怖したのではないでしょうか?

ヒトラーの語りが入る分、ヒトラーに感情移入しやすく設計されています。がそれでも自分自身、ヒトラーを好意的にとらえ、話に説得されつつある事に恐怖を感じます。

現代に蘇ったという設定ですが、そのまま80年前に置き換えても、突如現れたヒトラーが市民の不満と演説力を武器に、強烈に支持を集めていった事が簡単に想像できます。

この映画の驚くべきところは、市民へのインタビューがノンフィクションだという点です。途中まで、それっぽく撮影しているかな?と見ていましたが、モザイクが掛かったり、メッセージ性の無いインタビューなどもあり、これは現実だと気づきます。

ドイツでは、反ナチ教育が徹底されていて、過去の戦争犯罪を市民は心から反省していると、よく日本との引き合いで出されています。

しかし、映像に映る市民の実際は、違います。

インタビューに答える市民は政策や現状に不満を持ち、過去を美化するような発言も見られます。また、若者はヒトラーに対し、熱狂し好意を抱きます。

市民の不満で多く見られたのが、移民への強い反発でした。

ドイツでは移民住人の割合が全体の2割にものぼるそうです。約2000万人も移民者が存在します(日本は約300万人程度です)。このあたりの背景があるため、日本人では理解できない部分もあるとは思いますが、答える市民も抽象的な意見が多いのも印象的です「髭が多い奴らは不気味」、「アフリカ系はIQが低い」など、子供のいじめのような発言がちらほら出ますが、笑ってはいられないですよね。まさにナチス時代の選民思想と一緒?ユダヤ人というひとくくりで弾圧した卑劣さと同じものを感じました。

EUの理念はヨーロッパを一つにする事のはずですが、実際には国境を無くす事などできず、強固なナショナリズムが存在している事がわかります。

 

先にベストセラーとなった同名小説の出版時に、ドイツ国民は反戦教育が行き届いており、ここまで愚かな反応・洗脳はされないといった有識者からの反発があったそうです。そこでリアリティを追求してこのようなノンフィクション部分を差し込んだそうです。

所詮映画の中の話でよねと言いたいですが、インタビューのリアル部分がある事で、フィクションで終われない恐怖があります。

【帰ってきたヒトラー】から得た教訓

2020年世界がコロナウイルスという未知の存在に混乱を極めています。

そしてほぼ間違いなく世界は、深い深い不況の溝におちいるでしょう。

混乱が続く事で、あらゆる所で分断が起きています。普段は隠れていたものが顕在化してきている感じがあります。

「富裕層からむしり取れ」「特定職種への優遇をやめろ」「日本人以外の援助はカットしろ」「年寄りを間引ける」「若者は出歩くな」などなど、映画さながらの発言を耳にします。

また、「政府は無能」「〇〇知事はやめろ」「〇〇知事はすごい」など、普段無関心な層の政治的関心の高まり(主にヘイト)も異様に感じます。

これって、まさに歴史が証明するヒトラーや独裁政治が誕生する瞬間ですよね・・・

 

映画のメッセージは、歴史から人は学ばない!

たった80年前の出来事を、過去として思えない人類がいます。歴史の教科書の出来事としか認識できない、どこか現実味の無い話と捉える自分がいます。

豊かで平和、SNS等で言論も封じる事が出来ない現代では、同じ轍は踏まないと楽観視している自分に、簡単に同じ事が起きる、いやSNSがある分更にスピードを持って起こると刻み込んでくれた映画です。

 

最後に、

途中まで笑いながら見ていた視聴者が、必ずドキっとしてしまうセリフを紹介します。

認知症を患った老婆がヒトラーを怖がるシーン。

娘は「これはコメディーだからね」と安心させようとするが、

老婆がいった一言は、

「昔と同じだ。みんな最初は笑っていたんだ」

 

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